介護で忘れてはならない利用者の尊厳

介護に関する話題では、利用者の生の声を集めることは利用者ならではの状態のために難しく、どうしても介護する側からの発言が多くなってしまいがちだ。致し方のないことではあるが、ときには利用者の視点から考えてみることも非常に大切である。なぜならば、利用者はどんな状態であっても基本的には最後まで自尊心を持っているものであり、その点を忘れて、利用者の心のケアを疎かにしたりビジネスライクに接しすぎたりすると、利用者の状態が不安定になることもあるからだ。

利用者の自尊心が傷つきやすい状況は、やはりトイレ介助の場面だ。こうした場面での介助作業は、慣れてきた介護者ほどビジネスライクに淡々と行ってしまうことがある。しかし、利用者からするとそうした作業に慣れるということはなく、基本的には常に羞恥心を抱えている。また、利用者の状態によっては、今現在、自分が何を行われているのか理解が難しいということもある。そうした中、利用者の心のケアが不十分なままで作業を進めてしまうと、利用者は尊厳が傷つき、次回からトイレ介助を拒否するなどの行為につながることがある。テキパキと作業を進めることも大切だが、介護の基本である尊厳を守る介助も忘れてはいけない。

作業が他人の目線に触れないようにすることはもちろん、今からどのような作業をするのか利用者に適宜声かけを行うなど、利用者の自尊心が傷つかないような工夫をして介護を進めるようにしよう。利用者の尊厳を守ることも、介護の大切な仕事の一部である。