介護で重要な尊厳とは

介護において大切なのは、その人に合ったケアを行うことである。その中でも忘れてはならないのが、人間としての尊厳を守ることだ。人間としての尊厳とは、たとえ病気や障害を持っていても健康に生きる権利を平等に有していることである。ただ、理論や考え方を分かっていても、様々な状況に応じて態度やコミュニケーションを表現していくことは決して容易ではない。介護においては特に、本人とのコミュニケーションにおけるずれを生じたり、ジレンマを感じることもある。

また、病気や障害を持っていたり、高齢になるにつれて心身の機能が低下してくることで、差別されることがある。具体的には、スムーズに動けなかったり話したいことが瞬時に出てこなかったりするだけで、まるで人間ではないような扱いをされてしまう。心身の機能が衰えていなくても、高齢者というだけで差別されることもある。

こうした差別は、本人も家族も敏感に感じ取っている。介護を行う上では、差別された時のケアも欠かせなくなる。そのために最も大切なのは、一人の人間として大切に扱っているということをしっかり証明するのだ。もちろん一筋縄ではいかない。たった一回でも差別されれば心に深い傷を負ってしまうからだ。その傷を癒すには相当な時間と労力がかかる。時に衝突することもあれば、理解に苦しむこともある。しかしこうした過程を踏まえることでケアの質を高められる上、人間としての尊厳を守ることに繋がるのだ。