利用者への尊厳と基本的人権の尊重

対人援助の専門職である介護の仕事では、利用者との信頼関係をスムーズに築くことが大切だ。そのため利用者を介護するにあたっては、あらかじめ身につけるべき様々な基本的態度が存在する。その中でも特に重要なのが、利用者に対する尊厳および基本的人権の尊重である。まず介護をする者は、その対象が心や感情を持った人間であることを認識しなければならない。利用者がこれまで経験して獲得してきた、学歴や職業歴さらには結婚等といった人生について理解し、それを尊重することが求められる。そして家族や友人あるいは知人といった、誰かとどこかでつながっている大切な存在であることも、十分に認識すべきであろう。

このように個人として利用者を理解すると、個人の尊厳や基本的人権を尊重しながら、質の高い介護が可能になるのだ。これは単なる介護の心構えや基本的マナーといったものではなく、実際に介護福祉士法で規定されている職業倫理にも、直結するものである。そこでは、介護を担当する者が利用者に対して個人の尊厳を保持し、本来有する能力や適性を見極めながら、利用者が自立した生活を営むことができるように、常に誠実に業務を実行することが求められている。

そして何よりも、日本国憲法で基本的人権の尊重が規定されていることも、決して忘れてはならない。すべて国民は個人として尊重され、差別されてはならないのである。もしこれから介護の仕事を始めるのであれば、これらの基本的態度をしっかりとマスターすべきだろう。